9条・解釈改憲に、私たちはどう対峙するのか 今井 一さん・想田 和弘さん・宮台 真司さん 公開討論会より
安倍政権は、集団的自衛権の行使容認を強引に推し進めています。東京・生活者ネットワークは、憲法がないがしろにされ、立憲主義も国民主権も侵されていく今、私たちは主権者として何ができるのか何をなすべきかをテーマに、今井 一さん(ジャーナリスト)、想田 和弘さん(映画作家)、 宮台 真司さん(社会学者)と立場の異なる3人による公開討論会を開催しました。
今井さんは、集団的自衛権の行使はあいまいにするべきではない、はっきりさせるためには国民投票が必要だと言います。解釈改憲ではなく明文改憲が、みんなが納得できる方法であり、主権者である国民が責任をもって決めるべきだという論を展開しました。
想田さんは、ニューヨークに住んで活動しているのですが、自民党の憲法草案が出されたとき、こんなひどい草案を出すなんて、選挙は大敗するに違いないと思っていたら圧勝だったので、驚いた、日本人は民主主義を捨てようとしているのかと思ったそうです。政権にも問題があるが、黙って見ていた市民にも責任がある。急激な変化を嫌う日本人だから、白黒はっきりさせるより、民主主義を育てることから始めるのがよいのではないかという意見でした。
宮台さんは、ご自分は、最後には重武装中立化にするべきだという立場だが、今の状況からして国民が憲法を理解していないのに改憲などできるわけがないと考えていると仰いました。国民投票が政策人気投票になってしまうことが容易に想像できること、いくら主権者である国民が権利だとはいっても愚行してもよいとは言えないとのことでした。
3人とも、集団的自衛権の行使を認めるのか認めないのかを決めるのは安倍政権ではなく国民だということ、基本的には国民投票という手段に意義があることも共通していますが、明確に国民投票で決めるべきだと仰ったのは今井さんで、宮台さんは今は到底無理、想田さんも現状では積極的に賛成はできないという考えでした。
9条2項に関しては、これまでも自衛隊の運用などについては、その時々の政治のニーズで解釈されてきたという事実があります。3人の討論を伺って、状況が変われば政治判断も変わり、判断が変われば解釈も変わるというような不確定なものではなくするために、国民の権利として国民投票で決めるべきだという意見も理解できます。
ただし、今の「政治に無関心」「面倒くさい」という人たちが、消極的にではありますが、安倍政権を推進させるエネルギーとなったことは事実で、「政治に無関心であってはいけない。主権者としての自覚をもたなければならない」ということを、広げていかなければなりません。憲法についてこんなにも考えさせられる状況を作り出したのは、まさに安倍政権の暴走がきっかけだというのも皮肉な話です。与えられたものをおし頂く市民ではなく、自分たちが主体となって行動する市民とならなければ、と改めて強く思いました。