スクールソーシャルワーカー※ の設置を ~本会議質問④~
※スクールソーシャルワーカー(SSW) :子どもたちを取り巻くいろいろな課題解決のために、福祉的視点から、子どもの周りの環境、学校・地域・家庭の間の橋渡しや、必要に応じて行政や病院など外部の機関ともつなげる役目を果たす。
(質問) 子育て・教育力特別委員会でいじめ・不登校などへの支援について、直近の状況を伺いました。 江戸川区内の不登校の子どもたちの現状は、この数年700人前後で推移する状況が続いています。東京都全体では約9,000人で推移していますから、1割弱は江戸川区の子どもたちということになります。いじめについては、昨年度いじめと認知された件数は小学校、中学校ともに70件弱ですが、大津のいじめ事件を受けて都が緊急に行ったアンケート調査の影響か、今年度は9月の時点で、すでに小学校も中学校も70件を超える認知件数になっています。
学校で、先生方がカバーしきれない心のケアやいろいろな相談事については、スクールカウンセラーが担当していますが、現状、スクールカウンセラーのところには、小学校では教師からの相談がもっとも多いこと、中学校では相談する生徒本人が相談室や保健室になかなか入りにくい状況があるとのことでした。
いじめや不登校などの問題は、心の問題とともに、家庭、友人関係、地域、学校など子どもたちがおかれている環境の問題が複雑に絡み合っていることが多いのです。江戸川区で起きた、小学生男子が虐待で亡くなった事件や一家心中で小学生2人が亡くなった事件に関しても、いずれも子どもたちが学校を休みがちだったと聞いています。このように、子どもたちが置かれている厳しい生活環境が深刻化していることを考慮した対応が求められています。さまざまな問題を抱えた子どもたちに適切な対応をするためには、学校のなかだけではなく、教育分野に関する知識に加え、社会福祉などの専門的知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーの存在が重要になります。区が実施している教育相談員やステップサポーター、また前段で述べたスクールカウンセラーも含め、現在のしくみだけでは、学校外での子どもたちの活動の場、家庭をはじめその子どもに関わってくる生活や地域環境にまで目配りをし、サポートすることは難しい状況にあるのではないでしょうか。
スクールソーシャルワーカーについては、いじめ・不登校のみならず、以前から提案している通り、虐待問題についても成果が期待できるものと考えます。家庭環境は著しく変化し、子どもを取り巻く環境には、虐待やネグレクトなどの深刻な問題が横たわっています。過去に子どもの命を救えなかった反省に立ち、さまざまな問題から子どもを守るために、スクールソーシャルワーカーの配置を改めて要望します。まずは1人からでも採用し、課題に直面し、学校だけでは解決が図れないような事例に対応するなどの取り組みを求めるものですが、区のお考えをお聞きします。
答弁) いじめも不登校も、学校の中だけの問題ではない。身近にいる人が、発見して、どういう対応をするかということで、学校だけでなく、区全体として対応、児童相談所、子ども家庭部、健康部など様々の機関が一体となって、地域の民生委員などに声をかけ、地域全体で対応していこうとしている。何かあれば、そういう組織、全体のネットワークのなかで、外部との連携がとれる体制を区としてはつくっているつもり。新たな、学校としての対応を考えているのが現状、そういう役割(SSW)の方は、ネットワークの中で対応ができているのではないかと言うことで、今すぐには考えていない。
意見) 全体のネットワークの中での連携ができていないからこそ、スクールソーシャルワーカーを設置してほしいと要望しているのです。今回の松江で起きてしまった心中事件にしても、周りの人たちはみんな何かおかしいと気にしていたのです。それなのに、誰も一歩踏み出して行動することができなかった。そういう場合に、パイプ役として動けるのがスクールソーシャルワーカーです。スクールと名前がついていますが、教育委員会のなかではなく、子ども家庭支援センターも考えられます。今後も強く要望していきます。