本好きを育てる

読書科設置の行方は?

 4月から、江戸川区の区立小中学校では「読書科」の授業が始まります。
「読書科」は江戸川区が文部科学省の指定を受けて、学習指導要領から離れて自治体独自のカリキュラムを編成できる「教育課程特例校制度」を利用したものです。
 4月からの実施を目指して、区では、2010年度から、各小中学校に「1年間に1000分の読書時間を」ということで、朝読書を行ってきました。しかし、実際には本を手にしただけの子ども、やたらと本を取り替えたりして、読書に集中できない子どもたちなどが多という実態を踏まえて、読書が苦手な子どもたちが関心をもてるような、また想像をふくらませられるような工夫を取り入れていくといいます。
 具体例として、お薦めの本を演技・イラストなどをまじえてお互いに紹介し合う「ブックトーク」や間違い探しなどのゲームを用いるなどが挙げられています。

 新年度、図書購入費として、1億7266万円の予算が計上されました。小学校62,000冊、中学校39,000冊分になります。新年度から年間25時間以上の実施になります。評価は読書科だけでするのではなく、口頭で伝えたり、通知表の所見欄に記載したりするということです。

 各校とも、2年間試行的に朝読書を行ってきましたが、小学校では、保護者の読み聞かせの会などを利用する学校も多くあります。読み聞かせの会を長くやっている学校、そうではない学校など温度差があるのも実情です。ボランティアで読み聞かせをしている保護者の方々は、本を読むことは、すべての学習、生活につながるたいせつなことだとの思いで日々活動されています。けれども、すべてをボランティアでまかなうには負担も大きいといいます。図書館の環境整備、本の修理、選本など、読書科が始まったら、1億7266万円分予算がついて、蔵書が増えたからといって、数さえあればよいというものではありません。活かさなければ何にもならないのです。

司書教諭中心に進めていくと、区はいつも答弁しますが、司書教諭の先生方は担任ももっているのです。選本だけでも、たいへんな時間を必要とします。区の言う「子どもたちの内面から本を読みたいという気持ちを引き出したい」、これを実現するためには、やはり、学校図書館に専門に関われる学校司書が必要です。