100席ほど用意された室内はほぼ満席。説明者は、東京都、清掃一部事務組合、江戸川区から15名ほどが出席、インターネット中継などもしていると説明がありました。
まず、プロジェクターによる災害廃棄物受入れについて実証実験を行った手順と結果の報告があり、次いで女川町の現状と町長からのお願いの入ったDVDの上映がありました。説明はおおよそ50分程度、質問時間も1時間以上は確保されていました。
説明では、現地石巻クリーンセンターでの焼却試験結果を都と清掃一組が確認し、その後大田と品川の清掃工場で通常ゴミに20%の女川町の災害廃棄物を混ぜて行った焼却試験結果は、どちらの工場でも排ガス、排水、飛灰の放射能濃度測定の結果は不検出であり、災害廃棄物を混ぜる前の状況と比較して影響はみられないということでした。
女川町では、今回の津波によって、115年分ものごみがたまり、処分しきれないことから、可燃ごみについての焼却の支援を求めたものです。懸念される放射能やアスベストなどに関して、アスベストは現地での手選別による分別を行い、放射能に関しては、選別エリアでは1時間に3回の空間放射線量測定、ストックヤードではコンテナ単位で内側に鉛を貼り、遮蔽した箱の中で測定、搬出時にはコンテナを積み込んでからコンテナごとに空間放射線量を測ることで確認しているとのことでした。
受け入れる清掃工場でも搬入・焼却時、ばいじん器やバグフィルター周辺を含む各所で放射線量や出入時の圧力などを測定し、異常があれば焼却を停止し、原因を調査することになっているそうです。搬入される災害廃棄物の可燃ごみは23区では5万トン、それを19工場が順番で2週間ずつ担当します。江戸川清掃工場は4月から6月にかけてオーバーホールに入るため、受入れは夏以降になりそうです。
バグフィルターの性能について「高い温度で焼却されるとセシウムはガス化してフィルターを通過するのではないか?」という質問には「バグフィルターを通過させる場合には温度を250度に下げなければならず、気化していてもこの時点で固体化している。また、セシウムには土と結合しやすい性質があるので、まわりの土壌成分と結合し、大きな分子となっているのでフィルターをくぐり抜けることはないと考えている。」という答えでした。
また、「受入れのスケジュールと分量について、現在わかっていることは?」との質問には「各工場で、1日に焼却するごみの10%にあたる量を受け入れるが、工場によって受け入れられる容量に違いがある。各工場で2週間ずつ受け入れるが、どこの清掃工場が受け入れるかは前月の20日に公表する」との回答でした。
バグフィルターの性能を清掃一組が信頼していることは理解できましたが、焼却のスケジュールなどはすでにある程度わかっているはずです。オーバーホールに入る工場、建替えする工場は決まっているわけですから。現状、一組が考えているスケジュールを公表するべきだったと考えます。
予定時間をオーバーして、質問は21時半まで続きましたが、「焼却を、住民の意見を聞かずに、23区区長会で勝手に決めたことをどう考えるか?」「江戸川区は放射線量がほかと比べて高いのに何もしないのはどうしてか?」などの質問には「女川町の災害廃棄物受け入れの説明会なので」と環境部が出席していたのにもかかわらず、放射能に関する区としての答えがなく、これまでも放射能に関して住民の訴えに直接応えてこなかった江戸川区への不信感を改めて感じました。
放射能問題をきっかけに、行政が住民のために何をしているかに大きな関心が寄せられるようになりました。ほんとうの意味で区民が区と区民の協働を考えるきっかけになったのではないかと考えています。いつまでも行政にお任せにしない、区民が行政とともに住みよいまちをつくる住民発の自主的活動をすすめていきたいと考えています。