「地方自治と子ども施策」

2008年11月14日 16時41分 | カテゴリー: 活動報告

全国自治体シンポジウムin世田谷

このシンポジウムは、地方自治のもとで、地域から子どもを支援していく子ども施策・事業のあり方やまちづくりの展望を見出すために、2002年から毎年開催されているものです。
子どもを支援していく施策・事業について、全国の自治体職員をはじめ自治体関係者、研究者、市民・NPOが集まり、それぞれの取り組みについて発表、情報・意見交換を行っています。川西市で第1回のシンポジウムが開催されて以来、今年は世田谷で開催されました。

1日目の全体会では、世田谷区の「乳幼児期からのこども支援の総合化」、江戸川区の「すくすくスクール事業」、豊田市の「子ども行政の総合 計画から条例」についての発表がありました。
印象に残ったのは、世田谷区の政策です。乳幼児期の課題をその後長期に残さない、早期支援を行うことで予防的施策をとっていることでした。
NPOと区が協働で作った子育て情報誌「せたがやこそだてコンパス」を妊娠届や転入手続き時に配布したり、地域の子育てサークルがNPOのネットワークを通じて交流を図ったり、子育て中の親子が気軽に集い、仲間作りや子育て情報の交換ができる「子育てメッセ」という場を提供したり、地域社会全体での子育て支援を実施しています。また、子育てステーションとして成城学園前駅、三軒茶屋駅、千歳烏山駅前に「あそび」「そうだん」「あずかり」「ほいく」の基本機能を備えた多機能型子育て支援拠点施設を建てています。
多機能な場というのは色々な人たちが集まってきて、コミュニティを形成できる場にもなります。大きな建物である必要はありませんが、このような場を整備することは、子育てをしている家庭にとって、身体的にも精神的にもゆとりをもつために、たいへん有用なものになります。

2日目は、「子どもの相談・救済」「子ども計画の実施と評価」「子ども支援の質の向上」など7つの分科会に分かれました。私は、第3回定例本会議で「子どもの意見を行政に反映する」ことについて質問しているので、第4分科会の「子どもの参加支援」に加わりました。
八王子市では、市内小中学生40人の「子ども議会」で市役所に「いじめ対策課」を作ることを提案。話し合いを続ける中で、いじめられている子がそんな名称の課に行くだろうかということになり、「子どものしあわせ課」に決めました。2001年に「子どもの権利条例」の考えを取り入れて「八王子こどもすこやか宣言」を採択し、これに基づいて、子どもが自分に関係のあることについて自由に意見を表明できる権利を保証しているのです。
茅野市では、子ども会活動のリーダーを育てるため「茅野市リーダーズクラブ」があり、1997年から活動を続け、今では社会参画できる子どもたちを輩出するまでになったそうです。また、中高生広場の建設をきっかけに、大人が考えたプログラムや施設を押しつけてもだめだという考えのもと、設計段階から中高校生が関わり、企画・運営も子どもたち自身がするという「CHUKOらんどチノチノ」を完成させました。
川崎市は2000年に「子どもの権利条例」を制定、’01年4月から施行しています。条例制定以前から地域教育会議や中学校区・行政区子ども会議を実施し、条例制定時には、子どもの意見の聞き取りや子ども委員の参加を求め、条例案づくりにおいて「子ども委員会」が組織されました。7行政区で実施されている「学校教育推進会議」にも子どもの意見を反映するために、各学校で子ども委員の報告・提案を含めた活動が定着しているそうです。
中野区では子どもの権利啓発事業として「ハイティーン会議」を行っています。中高生が生活のなかで気になっていることや関心のあるテーマについて、メンバー全員がワークショップ形式で話し合ったり取材したりするものです。昨年度は中高生11人が参加、ワークショップ14回を開催し、話し合いをしたり、文部科学省やフリースクールへいじめについての取材に行ったりして、結果を区民・区長・教育長に発表し、意見交換を行いました。

子どもの参加や意見を述べる場を設けることに関して、江戸川区は「理想はそうかもしれないが、子どもの意見をどうやって取り入れろというのか」と否定的な答弁をしました。しかし、この日参加した自治体はどこも「子ども施策は子ども抜きで作れない」という姿勢を打ち出していました。子どもたちも最初から活発に意見を言うわけではありません。はじめは個人的なことだったり、ともすれば非難になりがちな意見だったりしたこともあったようです。しかし会議に参加することで、子どもたち自身が成長していくのがわかると、子ども会議を主催した自治体の報告は共通していました。次の世代を育成する、その名の通り次世代育成支援は長い目で見て、子どもを育てていく視点が必要だと改めて感じたシンポジウムでした。