福祉健康委員会 視察報告

9月2、3日 沖縄へ視察に行きました。

1日目 那覇市

特定非営利法人 ミラソル会の就労サポートセンター・ミラソル
ここは、知的・身体・精神の障がいをもつ方々への就労支援を行っているNPO法人です。
「障がい者職業委託訓練 はたらこ講座」という、販売接客シミュレーションを見せてもらい、実際にお客役で参加もさせてもらいました。
「あぎじゃび(とんでもない)商店」での、ロールプレイによる職業リハビリです。店員役、お客役をそれぞれ担当します。レジの操作より、1.ニコニコ笑顔、2.大きな声でハッキリと、3.早く、正確に、を重視します。買いものが終わったところで、まず、ロールプレイの参加者、次に、見ていた人たちが感想、意見を言います。最後に、みんなで点数をつけるのです。

ここでは、私たちも客として参加。はじめの説明で、いろいろなお客がいるので、どんな客を演じてもよいということだったので「端数をまけて」とか、所持金以上の買いものをするとか困った客を演じた人もいました。何かで、いちどつまずくと、あわててしまい、先に進めなくなってしまう、そのような経験を積むこと、それぞれが自分の意見や感想を言うことも訓練の一環になっていました。

杉光男センター長の話では、平成18年より就労支援を開始、最初は寄付とチャリティだけだったそうです。これまでの就職率は、平成20年3月現在で29人中27人 93.1%(障がい別区分  知的障がい18人、精神障がい 9人、身体障がい 2人)で、
定着率  平成20年8月22日現在 85.8%とたいへん高い数字が出ています。
建物にお金をかけるのではなく、本人のエンパワメントを支援することが大切だとおっしゃっていました。企業で通用するようにスピードと処理量、また企業で要求される態度、常識を学ぶことなどを繰り返しトレーニングすることで仕事も身につくそうです。職員は、そのためのジョブコーチおよび支援、そして仕事先の開拓とコーディネートに力を入れています。

  従来の授産施設では、「本人の希望に目を向けられない」ということがきっかけで、就労支援を始めたそうです。本人のエンパワメントをつけ、本人のしたいことに焦点をあてるべきという方針で、職業リハビリからジョブマッチング、その後のフォローアップまでの支援はすばらしいものです。スタッフの熱意が反映されていることを強く感じました。知的障がい者には1年2カ月以上の、精神障がい者には3年のフォローアップをしているそうで、これが、定着率の良さにも繋がっているのだと思いました。法人全体でも11人の職員でこれをまかなっていることには頭がさがりました。「地域で暮らし、地域で働く」ことを実践している施設を見学し、江戸川区でも、これからぜひ考えていかなければならないことだと痛切に感じました。

2日目 沖縄市(旧コザ市)

沖縄市役所で「ヘルシーおきなわシティー2010」事業の説明を受けました。
沖縄市は、米軍の駐留によって生まれた町です。現在、人口約13万人の市に、47カ国1160人の外国人が住んでいます。食の欧米化が進み、外食産業が増加したこともありますが、もともと車社会のため、歩かない生活に慣れているのだそうです。
健診率3割と低いにもかかわらず、40代で5人に1人、5,60代で4人に1人が生活習慣病との結果を受けて、2004年、市民が「生き生きと健やかに暮らしていく」を目標に、地域が主役となる健康作り事業を開始。2010年までに達成したい目標に向けて、取り組みを始めました。

「三七運動」の展開
市内にある自治会の数が37であること、「みんな」との語呂あわせで、3月7日に全自治会が実施。医師、管理栄養士、運動指導士による食事と運動の指導など、行政側から提案されたもののなかから、各自治会が選んで運営を担当し、行政と地域が協働で行っています。今年度で2回目。
※自治会:沖縄市では、もともとあった集落がそのまま各自治会になったそうで、江戸川区の町会・自治会とは少し違うようです。

「3センチ3キロ減らそうチャレンジ活動」
栄養・運動両面からチャレンジ項目を3つ選んで市のHPから登録します。週に1回ランキング発表。
 例:間食を半分にする。
   缶ジュース(缶コーヒー)を1本減らす。
   揚げ物・チャンプルーは1日1回を目安にする。
   1日1000歩増やす。(ウォーキング約10分)
   散歩をする。
など、栄養・運動合わせて12項目ありますが、ほかに自分で自由に目標を決めることもできます。

20年度はほかに、「ウォーキング講習会」「健康つくりシンポジウム」なども開催。
2006年、自治会中心に、年齢別に1000人にアンケートをとって、中間評価をしたところ、課題として30代は体重、40代は間食、50代は運動不足があげられたそうです。

語呂あわせをつかい、浸透を図っているのですが、なかなか実践に結び付かないところもあるようです。運動・身体活動、栄養・食生活だけでなく、アルコールやたばこに関して児童・生徒や青年層対象の講座、歯やこころの健康に関しても健診を行っています。健康づくり運動の展開という意味では、元気な高齢者の多い江戸川区でも、リズム運動やくすのきクラブなどのほかに、なかなか外に出ない人たちのためには、HP上で登録し、結果を公表する「3センチ3キロ減らそうチャレンジ活動」のような事業も応用できるかもしれません。

「沖縄市福祉文化プラザ」
ここは、地域活動センター・児童センター・ファミリーサポートセンター・社会福祉協議会が一つの建物に集まった複合施設です。子どもからお年寄り、障がいのある方も健常者も誰でも気軽に使えることを謳っています。児童センターは、年間約50,000人とたいへん多くの利用者がいるそうです。ほかに、ファミリーサポートセンター、地域活動支援センターがあります。複合であるがゆえに各施設の職員のコミュニケーションを図ることにも力を入れています。
大型の複合施設は、土地が広いからできるのかとも思います。国や県の補助を受けての建設ですが、約14億円かかったそうです。昨年行った岡山市の複合施設もそうでしたが、大きな施設は、維持費がとてもかかります。大きい施設ではありませんが、江戸川区には「すくすくスクール」事業などで、大人と子どもが触れ合える場所、地域で子どもを見守る場所があります。地域コミュニティを生かして、このような場を、規模ではなく、あちこちに数多く作ることが必要だと思います。

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