江戸川区の情報公開度は?      決算特別委員会 総務費 報告

6月の日経グローカルの議会改革の調査では、江戸川区議会は残念ながら、23区でワースト1という結果になってしまいましたが、自治体の方はどうなっているか、生活者ネットワークが調査したところ、江戸川区の情報公開の状況は他自治体と比べると、開かれた自治体とは言い難い結果となりました。

「庁議」ということばをご存知でしょうか?江戸川区長はじめ、副区長、教育長、各部の部長などの幹部職員が集まって、区政の基本方針や重要な施策について話し合う、もっとも重要な会議です。この会議については、職員報に一部掲載されますが、区民にはまったく公表されていません。そこで、総務費の決算においては、情報公開について質問しました。

質疑については下記のとおりです。

質問  情報公開ついて、情報開示と庁議の公開について伺います。

先日北小岩1丁目東部におけるまちづくり懇談会の議事録を公開請求したところ、行政の説明部分は記録されておらず、同時に請求した録音物については、「行政文書には該当しない。報告書作成後、破棄した」との通知がありました。これに基づいて伺います。

録音物は行政文書だと認識しますが、いかがですか。

答弁  音声データについては、文書作成の忘備録のようなもの。扱いは、所管課に任せている。

質問   行政文書の定義は、職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録とあります。録音テープも電磁的記録であって行政文書と認識すべきですが、この点はいかがでしょうか?

答弁  説明会などに関しては、所管課に任せている。

意見  総務省の情報公開制度の紹介をしているHPにおいても、開示請求できる文書には録音テープが含まれています。 他自治体の情報保護審査会では、2012年、教育委員会の会議において、会議録作成時、その正確性を担保するために、担当者が忘備録として録音しているテープは、作成に関与した職員個人のものではなく、組織としての共用文書とされ、「当該記録は作成しておらず、保有していないため不存在」とした不開示決定は、取り消すのが妥当である、という判断をくだしています。つまり、録音テープは開示すべき行政文書だということで、こうした判断が一般的であると認識します。

質問  区の状況に話を戻しますが、同じ区の行政文書でありながら、ある時は説明の内容まで含めた丁寧な文書が作成されている場合があります。このような差異が生じていることについては、統一していくよう改善の要があると思いますが、いかがでしょうか?

答弁 ケースバイケースと考えている。

意見  先ほど申し上げた説明部分が記録化されていないことについてですが、説明会に出席された住民の方であっても、専門的な話であれば、資料を1度見ただけでは理解できないと、改めて説明文書を求める方もいるかもしれません。また、参加できなかった方も資料だけではわかりづらく、議事録を求める場合もあるでしょう。行政にとっても、説明をきちんとしたという根拠にもなります。録音データに基づいて、住民の方々に区がどういう説明をしたのかを詳細に記録しておくことはたいへん重要だと考えます。

質問  録音テープの取り扱い、また、録音の記録のあり方について、再検討を求めるものですが、これについてのお考えをお聞かせください。

答弁  テープをそのまま渡すと、個人名が入っていたりする。会の性質にもよるが手順は各所管課で決めるべき。

次に庁議の公開について伺います。

質問  区が日ごろから言っている区と区民との協働を進めるためには、自治体や議会がいかに開かれているかが重要です。インターネットやSNSの普及もあり、以前に比べれば、公開状況は進歩している感もあります。先日23区ではいちばん議会改革が遅れていると採点された江戸川区議会としても着実に改革を進める必要がありますが、最近の自治体の開かれ度を測る手段として、自治体の中でも最も高い位置にある意思決定や協議の場の公開度が挙げられます。つまり江戸川区においては「庁議」の公開度です。私たち生活者ネットワークは、今年、自治体の開かれ度調査を行って、各自治体の庁議や幹部会などの公開状況を調査したところ、この「庁議」の公開度にかなりの温度差があることが改めてわかりました。

①   江戸川区ではこれまでのところ「庁議」は一切公開されていません。その理由を伺います。

答弁  庁議は、区行政の基本方針、重要施策等を審議し、業務の総合調整を行うことにより、効率的かつ円滑な行政運営を図る重要な会議。忌憚ない意見を言うために、公表する必要はないと考えている。

質問  今回、都内32の自治体及び東京都の調査を行いましたが、傍聴できない、というのはおおむね共通していました。もちろん個人情報関連や意思形成過程は非公開であることは理解するところです。しかし、それらを除外した部分については、庁議に出された資料や議事要旨などをHPで公開しているところもあれば(10)、行政資料室で閲覧・コピーできるところ(7)、「情報公開請求によって公開する」としたところ(15)も多い中、江戸川区では、情報公開請求の対象ともしておらず、最も開かれていない自治体のひとつでした。

庁議設置根拠である例規を見ると、「情報公開」の項目を掲げる自治体もあり、「議題、審議結果及び審議経過の論点、協議の要点は、公開する」ことが明記されています。これが明文化されていなくても公開しているところもちろんあります。

②   こうした自治体が増えている中、江戸川区の公開に向けた今後の考えを伺います。

答弁 先ほど申し上げた通り、公表の必要はない。

意見  庁議のHPから、議会に出される条例案、指定管理者選定、計画案などが見られる区もあります。首長の意思決定を支える、政策決定の最高機関がどのような理由で、何を議論し、どう決定したか、まさに市民生活に大きな影響を及ぼす決定であり、その議題を知るだけでも、今の区政の重要課題を知ることにつながります。

住民参加と情報公開はセットでなされるものであり、情報公開の徹底は、お金と時間がかからない行政改革の重要な道具ととらえ、よりよい協働を目指す区政運営について、また、区政の透明性を高めるためにも、区民が知ることができる「公開」、そしてその先の、区として積極的に知らせるための「公表」に向けた検討を要望しますが、せめて、議題だけでも公表することによって区民は今区が何を課題と考えているのかが分かるのです。議題の公表を要望します。