学校統合について 定例本会議報告③
最後に、学校統合について質問しました。
今年2月「江戸川区立小・中学校の統合に関する基本指針」が出されました。今後 10 年間に統合の対象となると考えられる地域として、区内6地域が挙げられています。そのなかで現在、平井地域、清新町地域で検討がなされています。しかし、一部地域の問題として地域ごとに統廃合を進める対処療法的な方法には問題があると考えます。学校は区の財産であり、その統合は区民にとって重要な問題です。全区的な議論が必要であるとの観点からお聞きします。
①まず、この2地域で統合しなければならなくなった理由について、検証の結果を伺います。
次に、区が導入してから10年になる学校選択制との関連について伺います。学校の活性化と特色づくり、子どもと保護者の選択肢を増やすことなどの理由で、2003年から中学校、2004年から小学校で学校選択制が導入されました。昨年5月には、「学校選択制の改善について」を発表し、教育委員会は、選択制の課題として、小規模校への対応の必要性をあげ、地域で子どもを育てていくことをアピールし入学を促すようにとしています。
選択制が始まった当初、教育長は選択制について「他の自治体は統廃合を睨んでの選択制だが、江戸川区は純粋に選択肢を増やして学校を活性化することが目的だ」と答弁し、選択制と統合の関連性については否定しています。
統合に関する基本指針の中では、子どもの数の減少を統合の理由にあげていますが、2004年からの子どもの人口の減少傾向は、出生数が2002年の6,999から2011年には5,891と減少している人口動態からもわかっていたことです。この現実に加え、さらに、選択制が、学校の規模にばらつきが出ることを加速した側面があると考えます。2008年第2回定例本会議で当時の教育長は、「児童数の増減はある意味選択制度の当然の結果であり、特色ある学校づくりをすすめていってもらう。少人数のところは少ないなりにその特徴を生かした教育をすすめてもらい、地域から評価されるように」という答弁もしています。
しかし、結局今回出された「統合に関する基本指針」では「1 学年 1 学級となるいわゆる単学級の学年が生じる学校や、校舎の老朽化が進む学校、隣接校との距離が非常に近い学校等がある地域が、検討の対象となります。」と小規模校は統合されていく流れになっています。現在対象になっている2地域の状況を見ると近隣に複数の学校があり、選択制によってさらに小規模化が進んだ状況があります。この状況から考えると、選択制と統合は密接な関係性があると考えます。
②学校選択制と学校統合とは関連付けて検証するべきと考えますが、区の見解を伺います。
また、区民にとって、学校は、日常では地域に開かれ、学校教育の他にも地域で子育てをしたり、スポーツや文化に親しむなど、住民をつなぐコミュニティの重要な拠点でもあり、被災時には地域防災拠点ともなるものです。当然、跡地利用については、大きな関心事となることは言うまでもありません。先行する2つの地域だけにとどめるのではなく、まずは学校統合について、区がまとめた指針を区民全体に広く発信していくべきと考えます。
③学校統合の問題に関しては、全区的に情報を公開し、区民を含め、公の場で、議論し、適正配置を踏まえた区としての方針を立てるべきだと考えますが、お考えを伺います。
答弁 区長
学校統廃合のことは、提案していて議論をお願いする。近未来を具体的に示していきたい。①今現に、数校の学校が100人以下になっているところをどうするか、これは差し迫った問題なので、早急に対応していかざるをえない。難しい議論があるが、③全体をやってから、全体の考え方を出してから、1校1校をなんとかするというのでは遅い。それだけいろいろなロスがあるということもある。逐次出てくるかとも思うので、それはそれとしてやっていく。全体、こういう風になるということは、みなさんとの議論のなかで、地域にどういう学校を配置にしていくかということを決めたい。
それから、②学区制と選択制があって、学区制は収容しきれないから、適正収容するという観点で学区制が必要だった。学校に余裕ができたら選択制が入ってきていいと思っている。子どもたちが行きたい学校に行けることはいいことだとが、風評などで偏ってしまうことはよくない。学校の適正配置といったら、全体の地域を考えて、その中にどの程度の学校があったらいいか、ある程度考え方を決めてから、その中で選択制が充分できるのであれば、いい意味の選択制をやることはいいと思う。でもあの学校はあの先生が変だからとかいうことで人気ががたっと落ちてしまうようなことであれば、本当の意味での選択制にならないので、充分留意していかなければならないと思っている。来年の宿題としているので、その時に議論をお願いしたいと思う。
意見・再質問
学校統合については、少なくとも学校改築に入る際には広く検討されているべきであり、他の自治体はその意味でも早くから適正配置の方針をつくっていました。今後は、選択制、改築などを踏まえた、総合的な議論にしていく必要があると考えます。
統合については、基本指針の中に「校舎の老朽化」も入っており、これは学校改築につながる話であり、当然、統合を勘案した上で改築には着手すべきですが、すでになされた改築についての判断はどうだったのか伺います。
答弁 教育長
改築についての考え方は、改築事業に取りかかるH19年に、全部の老朽化した学校を建て替えるという計画をつくった。そのときに学校の統廃合の考え方をもっていたわけではない。そのあと、基本計画に示した人口動態の方向性も含めて、これから子どもの数が減るというなかで、あわせて学校のあり方を考えていかなければならないという課題を今背負っている。これから1年間で考えていかなければならないというところにたっている。
再再質問
学校統合についても、今回の子ども計画に関わる学童の補食の問題も、昨日も今日も質問され、これまで私たちも問題提起してきたスーパー堤防事業についてもそうですが、適切なタイミングで住民参加が保障されなければなりません。その手順に狂いが生じることで住民の信頼が失われ、守られるべき権利の視点が崩れていくのです。おやつを食べて育つ権利、生活する権利、知る権利などについて、区民に対し、丁寧とは言えない姿勢が見られる点については改善されるべきです。
問題は、当事者を議論の中心に据えていないことにあると考えます。施策を進める上で当事者の権利を守るために、どのようなことに留意されているのか、お聞かせください。
答弁 教育長
教育委員会に関係する事業ということで、当事者にできるかぎり早く情報提供をして一緒に議論するということに重点をおいているつもり。そのように現場で議論していると思っている。このなかでいただいた意見について真摯に受け止め考えていきたい。