みんなちがって、みんないい  ~乙武洋匡さんの講演会にて~

江戸川区の発達障がいへの理解のためのリーフレット

 2月9日 発達障がいについての理解を広めるために、区が主催した乙武さんの講演を聞きました。1500人の会場は満席でした。

  3年間の契約で、杉並区の小学校で担任をした経験を通して、障がい者を受け入れるとはどういうことなのか、自分が受け入れてもらったと感じるのはどういうときなのかを、ご自身の体験をユーモアを織り込んで話してくれました。

  低学年は遠慮なしに、何をやっても、どうやるのか、じろじろ見るし、いろいろストレートに聞いてくるそうです。給食の時間、乙武先生は、びん牛乳のふたが開けられないのですが、誰が手伝うかで争いが起きるほどでした。それが、高学年になると、あまりじろじろ見るのも失礼だし、こんなこと聞いたら、わるいかもしれないしという、大人の論理がはたらいて、静かに、でもやっぱり好奇心がはたらいて、ちらちらと見るのです。しばらくして、ある日の放課後、5年生の女子たちが玄関で上履きの話をしていたところを通りかかった乙武先生に「先生、靴何センチ?」と聞いたのです。乙武先生は「先生、足ないから、靴はかないよ。」と答えたら、「あぁ~」と、また普通の会話に戻ったのだそうです。このときに、乙武さんは「やっと、受け入れられた」と感じたのだそうです。障がいについて、特段意識しないで、当たり前の状態として接することがだいじなのだと強調していました。

  そのためには、周囲が理解することが必要不可欠です。身体障がいは目に見えるけれども発達障がいは一見しただけではわからないので、より以上の理解が必要になります。昨年12月に文部科学省が公立小中学校の通常学級に発達障がいのある児童・生徒が6.5%在籍していると推定されるという調査結果を発表しました。40人学級であれば、1クラスにつき2~3人の割合になります。先生方のなかにも発達障がいについてはまだまだ理解されていないところもあり、現場に携わる先生方がより正しい情報をもち、意識を高めていけるような取り組みが必要です。江戸川区でも、専門家による巡回指導などが行われ、発達障がい児への支援が拡充されつつあります。けれども、いちばんだいじなことは、乙武さんの講演にあったように、周りの私たちが、受け入れることです。講演のタイトルにあった金子みすずの「わたしと小鳥とすずと」の「みんなちがって、みんないい」に表わされるように、そのままを受け入れる環境をつくりたいと、改めて思いました。