放射線は区民に正しく理解されたか? 

江戸川区が区民のために行なった講演会を聞いて   

いったい誰のための講演会だったのか?
今日の講演を聞き終わって、まず感じたことでした。

会場にはいると、写真撮影は禁止、大ホールの両側を職員がずらっと並び、まるで成人式のときのように、騒ぎが起きたらすぐ対処できるように、体制をとっているという雰囲気でした。

首都大学の福士先生の話は、たとえば半減期については物理的半減期、生理学的半減期、実効半減期、線量については吸収線量、等価線量、実効線量など専門用語も多く出てきて、解説はしてくださるのですが、素人にはわかりにくかったのも確かです。内容も、自然界に存在している放射線の話や原発事故の前の江戸川区の放射線量の話などに時間がさかれ、ほんとうに今区民の知りたい放射線に関しての話であったのか疑問です。ただ、ネットで取り上げられている事柄や、テレビでの発言とは違って、学者としてのきちんとした事実に基づいてのお話ではありました。客観的に判断するためにはデータが必要だということもはっきりと仰っていました。

理解できなかったのは、区の対応です。質疑応答の時間になって 3人の方が質問しました。直接、福士先生の講演に関するものではない質問もありましたが、3人目の方の質疑応答が終わったところで、まだ質問したいと手を挙げている方がいるにも拘わらず、今日の講演会はここまでと突然終わりになってしまいました。

区民に放射線を正しく理解してもらうための講演会だったはずで、質疑応答の時間も設けますと、講演会の始めに司会者は話したのです。福士先生は、自分の講演とは直接関係のなかった質問にも丁寧に答えていましたし、質問者の方々も感情的になることもなく質疑応答が進んでいたのに、突然打ち切られてしまった区民の方々の不満は当然です。区は「時間の都合があるので、あと○人で質問を終わります。」とか、予告をすべきでした。

本会議の質問のときにも言いましたが、区民は区の安全に対する考え方、区の姿勢に疑問と不安を感じているのです。今日の、区民のための講演会が、区の仕切りのまずさで、区民の理解が得られないものになってしまったことは、たいへん残念なことです。