地域主権のなかでの議会のあり方

地域主権連続学習会から

東京ネットが開催した地域主権の学習会が終了しました。4月19日に始まって5回、自治体の義務付け・枠付けの話から、一括交付金、議会と首長の関係など、新政権が打ち出した基本方針に「地域主権」がありました。
5月24日の最後の学習会は「自治体議会の役割について」でした。
議会内閣制ということばをご存じでしょうか?「議員」ではなく「議会」内閣制です。地域主権戦略会議で大阪の橋下知事らが提唱しています。これは、地方政治において議会のなかから執行部つまり行政に携わるメンバーを出すということで、今の国会のような組織にするということです。国の政治は議院内閣制で、第1党から内閣総理大臣を選出し、総理大臣指名により各大臣を出し内閣を構成します。一方、地方自治体では、行政の代表である首長(江戸川区では区長)と区議会議員は別々に選挙で選び、執行部と議会は対等な関係、二元代表制になっています。その中で、区長と議会にはそれぞれ違う権限があり、行政運営がどちらかに偏らないしくみになっているのです。
もし、自治体に、議会内閣制が導入されれば、議員の中から副区長や総務部長などの執行側の責任を担当する人が出てくることになります。これでは、区長をトップとする行政運営のチェックをする役割である議会が、区長や知事の下に置かれることになります。橋下知事のようにマスコミに露出する頻度の高い知事の発言を、マスコミはこぞって取り上げ、全国に報道されることで、ますます議会の影は薄くなり、議会不要論にまで発展してしまいます。
 今、政治に関心をもつ人たちが増えています。だいじなことは地域に住む住民が決めるという市民参加の政治を進めるためにも、議会がこれまで自分たちの活動を、広くみなさんに伝えてこなかったことを反省し、議会が市民に開かれることが重要だと考えます。
議会が組織としてひとつになって、住民と直接対話をしている議会もあります。北海道の栗山町議会は議会のたびに学校や会館など12ヵ所で議会報告会を開きます。会津若松市議会は、議会全体が1つの機関として、当事者と話す機会をもち、問題になっている事柄を充分議論してから、議会としての検討に入ります。三重県議会は、県民の意向を議会活動に反映するよう、県民の参画する機会の確保を議会基本条例で定めています。
 これらの議会のように、本来、議員は市民の代表なのですから、支持者の意向を聞くだけではなく、議会自体が一丸となって、市民の意見を聞き議論するために、議会の方から街なかへ出て対話をすることは、たいへん評価できるものです。江戸川区においても、もっと議会を開かれたものにするためにこれからも活動していきます。
 江戸川区議会には「議会改革検討小委員会」があり、少しずつですが、改革案が検討されています。改革されたことの例としては、議会がインターネットで中継されるようになったことや委員会の傍聴に来た人たちに資料を見せるようになったこと、希望者はコピー代がかかりますが、入手できるようになったこと、などがあります。議事録・会議録などのHPへの掲載もされるようになりました。各議員の発言も委員会の様子も分かります。ぜひ、ご覧になって、ご意見、ご提案を区政に反映させる手段として活用してくださるようお願いします.