産科医療制度

前回の「参加医療補償制度」について、国民保険運営協議会で、いくつかの疑問点について質問しました。
これまで、国民健康保険や社会保険から支払われる出産一時金は一律35万円だったのですが、2009年1月から始まった「産科医療補償制度」(無過失補償制度)の開始に合わせ、38万円に引き上げたものです。
保険料として病院が保険会社に支払う金額が一分娩につき3万円です。この制度が始まると、病院が妊産婦側に請求する医療費に3万円を上乗せして請求されるとの予測から、出産一時金に3万円を加えて38万円が支払われることになりました(現在は、少子化対策として、暫定的に今年10月から1年半はさらに上乗せされて、42万円が支払われることになっています。)
区には、産科医療保障制度の運営機関である日本医療機能評価機構が提携した保険会社6社の名前、脳性まひに関しての認定にかかわる審査委員会のメンバーを把握しているかを聞きました。
保険会社は、東京海上日動保険(幹事会社)、あいおい損害保険、(株)損害保険ジャパン、ニッセイ同和損害保険、日本興亜損害保険(株)、三井住友海上火災(株)の6社であることは、区も把握していましたが、委員会のメンバーについては公表されておらず、区もインターネットでわかる情報しかもっていないのが実情です。さらに驚いたのは、もし、区内でこの制度を利用する患者がでたとしても、プライバシーにかかわることなので、いっさい知らせないと医療機能評価機構が言っていることです。区としては、数くらいは知らせるべきではないかと要望しています。
産科医療保障制度は、出産時に医師に過失があるなしにかかわらず、医療事故による脳性まひの子どもの出産に対して、妊産婦に3000万円の補償金を支払うものです。厚生労働省は、年間約100万件の出産のうち、補償対象は500〜800件程度と見込んでいるので、100万(件)×保険料3万円=300億円、補償対象500〜800(件)×補償金3000万円=150億円〜240億円と考えると、1年で、かなりの余剰金が出ることになります。
この余剰金は、脳性まひの原因分析や再発防止の研究に役立てることや運営にかかる事務コストに使われることになっています。この制度には公的財源が投入されているわけで、お金の流れについては、外部有識者によって組織される産科医療保障制度運営委員会に報告し、公表すると、厚労省は回答しています。
実際に対象になる脳性まひの判断は6ヵ月〜1年後ということなので、まだ始まったばかりのこの制度がどのようになっていくのかはわかりませんが、税金を使っての事業です。区も保険者としての責任があるのですから、実情の把握をするようにこれからも要望していきますし、この機構の動きもチェックしていこうと考えています。