羽田空港  騒音問題     江戸川区の騒音は増えるのか・

 7月29日、清新町コミュニティ会館で行われた「羽田空港のこれから」と題する説明会に参加しました。東京オリンピックを契機に、羽田空港の発着便を増便するという国の意向については、報道されているところです。

ベランダから見た着陸便

  今朝も、江戸川区の上空を2分弱間隔で飛行機が通過しています。江戸川区上空を通る飛行機の騒音については、1971(昭和46)年に遡ります。羽田空港のB滑走路使用開始により、江戸川区上空を飛行する航空機は1日191便、年間で20,000機にも及びました。当時の単位で最大92ホン(単位の国際化により、日本独自のホンは使用されないことになり、現在はデシベルという単位で表されています。)で、江戸川区は、東京地裁に上空飛行停止を求める仮処分の申請を行いました。翌年、南風でB滑走路を使わざるを得なく、視界がわるいとき、23:00~6:00は飛行しない、上空飛行開始および解除時は区に連絡の条件のもと和解が成立しました。 

 現在はA~Dの4本の滑走路の使用は風向きに合わせて、南風のときと北風のときで離着陸の設定が変わることになっています。江戸川区上空を飛行するのは、協定通り南風時の視界のわるいときですが、このところゲリラ豪雨の原因にもなっている急激に発達する積乱雲が増え、これまで以上に、視界のわるい状況が多くなっているのです。 

 さらに、東京オリンピックを見すえて、羽田空港での発着便を39,000回増やす検討がなされており、今回の説明会は、国土交通省の提案に対する住民の意見を聞くためのものでした。国交省航空局羽田担当室長の説明では、南風のとき、15:00~19:00の4時間は天候に関わらず、都心側から到着、海側(川崎沖、木更津沖)へ出発することで1時間当たり10回増の90回、発着回数を増やすことができるようになるとのことでした。そして、北風のとき、朝6:00~10:30と15:00~19:00の8時間半、荒川上空を離陸便が通過するという説明がありました。

 

参加者からは、30件近くの質問が出ました。いくつか例を挙げます。

Q:「最近、以前より高度が低く感じるがどうなのか?」

A:「高度については計器着陸なので、実際には変わっていない。」

Q:「東京湾を利用したルートの開発は?」

A:「東京湾の利用は検討したが、滑走路を造るには10年以上かかり、費用も数兆円かかる。ルートの開発については、重要だが、現在の東京湾もいっぱいいっぱいの状況なので、騒音対策など技術的な方策を考える。」

Q:「環境省の騒音の基準はクリアしているか?」

A:「飛行機の騒音自体は、直接アセス法には関連しない。平均値なので、現状は57~62デシベル。最大値で70デシベルくらいが現状。」

Q:「環境に配慮の具体的方策は?」

A:「住民のみなさんの声を踏まえて、朝の時間帯をずらすなどしていきたい。」

など予定時間を大幅に上回るものでした。「あくまで今は構想の段階、神奈川~東京、埼玉で開催している説明会での意見を持ち帰って、検討し、また改めてみなさんにお話ししたい。」とのこと。年末から、年明けあたりに再度説明会を開き、今回出た意見がどのように反映されたかなど説明したいということでした。 

 いくら計器による着陸だと言っても、人の受ける感覚はそれぞれです。建物との比較で以前より低く感じる方もいるでしょう。また、騒音の大きさが平均値で出されてしまうと、今日のように特定の時間、ずっと着陸音を聞かされる側としては、基準以下だと言われても、うるさいと感じます。騒音の比較に、セミの声を挙げ瞬間最大で80デシベル、飛行機の離陸時、江戸川区の荒川上空では高度750mくらいで71~80デシベルなので、と言われても、聞く音の種類によって感じ方は違ってきます。まして、私たちは日常生活のなかで飛行機の音だけ取り出して聞いているのではなく、セミの声も、飛行機も、高速道路を走るトラックの音も同時に聞いているのです。一つひとつの音が基準値以下だからというのは、現実に即していないのです。 

 今回の清新町での説明会は、これまで開催したなかで最も多くの質問が出た説明会だということでした。春から夏は南風の影響で飛行機がすぐ近くを飛行する地域の住民として、当然のことだと思います。今回、国交省は住民とやり取りをして、その結果を反映したものを新たに2回目の説明会で公表したいということでした。意見募集のハガキもありましたが、国交省のHPで、「羽田空港のこれから」を検索すると意見が記入できます。まだ、あくまで構想の段階で、みなさんの意見を充分にお聞きしてから、という国交省。本当に住民の意見が反映されるのか、みんなで意見を出して、次の説明会にも臨みましょう。