子ども子育て支援新制度について   定例本会議報告②

「子ども・子育て支援新制度」は、すべての子どもの良質な成育環境を保障し、子ども・子育て家庭を社会全体で支援することを目的に、2015年度より施行される予定となり、自治体では「子ども・子育て支援事業計画」を策定、給付・事業を実施することになっています。新たな枠組みも示されており、いかに地域ニーズを把握し、どのような事業展開により、子育ての課題を解決するのか、各自治体の手腕が問われるところであり、江戸川区の姿勢を知るために、質問しました。

 質問

 子育てについては、日本では長い間、親、特に女性が家庭において担うものと考えられてきました。しかし、現政権が、女性の社会進出を成長戦略の重要項目と位置付けているとおり、女性の力は社会においてもいかんなく発揮されることが期待され、子どもが小さいうちから両親そろって働くケースは珍しくない状況です。こうした中、今後考えられるべき子育て環境は、ワーク・ライフ・バランスをいかに保つかとういうことであり、今日、顕在化した児童虐待問題に見られるように、親と一緒にいることが逆に危険な場合があるという事実も踏まえ、子ども自身の育つ権利にいかに焦点をあて、施策化するかが問われていると考えます。こうした観点に立ち、質問いたします。

①まず、今回示されたさまざまなサービスメニューの中で、江戸川区は今後、何に力をいれていくべきとお考えか、伺います。

次に、地域子育て支援拠点事業として、新しく、「多様な主体が本制度に参入することを促進するための事業」や「利用者支援」などが含まれたことについて3点お聞きします。②‐1・地域型保育としての小規模保育や居宅訪問型保育などは、NPOなど市民主体の新規参入が期待されるところですが、その参入について、またこうした事業の必要性についてお考えを伺います。

 ・次に、保育シェアについて伺います。社会の中で自己実現を果たしたいと思う一方、特に子どもが小さいうちはなるべく一緒に過ごしたいというのも親心です。今日、育児休業制度も進みましたが、育休明けのタイミングで保育所に入所することは難しい現状があり、多くの人が育児休暇をみすみす切り上げて入所させるケースが見受けられます。これではせっかくの制度が功を奏してしているとは言えず、園側も本来ならば保育しなくてもすむはずの子を保育することになります。そこで、②‐2一時的に、フルタイムではない勤務を希望する人たちを対象に、たとえば週3日保育を行う、あるいは午前と午後に分けた保育を行う、という保育シェアを行ってはいかがでしょうか。つまり、一人分の枠を2人で利用するという考えで、50人の枠を100人が利用できます。同時に、在宅の子育て支援が十分なされれば、その間、在宅保育もうまくいき、保育園にも空きが出ます。当事者にとっても園にとってもメリットであり、利用したいときに利用できない、という課題の解消にもつながることから、子育てと仕事の両立を大胆に応援できると考えます。

 3つ目に、「保育コーディネーター」の配置について伺います。子どもや保護者が、保育園や幼稚園、こども園での教育や保育、一時預かりなど地域子育て支援事業など、さまざまなサービスの中から自分たちに合ったものを選んで利用できるよう、情報集約や情報提供を行ったり、利用にあたっての相談への助言や関係機関との連絡調整などをしたりする役割です。②‐3保育園などの施設は有用な育児支援の場ですが、それ以外にもサービスは多様に用意されるべきであり、それらが適切な当事者利用につながらなければ意味がありません。他区に比べて依然在宅での子育てが多い江戸川区としては検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、ニーズ調査について伺います。江戸川区では、就学前児童のいる家庭のみ3000世帯に調査票を送付しましたが、支援法に定めている事業には放課後子ども健全育成事業も含まれており、小学生も対象範囲となります。「すくすくスクール」について言えば、学童登録の補食の問題は未だ解決しておらず、今回、小学生やその保護者の声を聞くよいチャンスだったのではないでしょうか。他の自治体では、小学生とその保護者、中学生や配慮の必要な子どもの保護者などにも調査をかけています。③江戸川区が調査対象を未就学児の保護者に限定した理由、及び、今後、小学生とその保護者の意見を聞くことを予定しているのか、お尋ねいたします。

 最後に「次世代育成支援行動計画」との関連について伺います。2005年から10年間の計画として策定された「次世代育成支援行動計画」は来年度が終了年となります。この計画は、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ、夢をもって豊かに育つまちをつくるための広範な計画であり、今回の「子ども・子育て支援事業計画」がその範疇としないであろう子どもの医療の問題、公園や広場など居場所の問題、障がいや不登校、虐待の問題など、子どもの育つ権利に関わる重要な柱が盛り込まれています。その意味では、「子ども・子育て支援計画」は「次世代育成支援行動計画」に内包されるものと考えられ、「次世代育成支援行動計画」もさらに継続すべき重要な計画であると考えます。④今後、この計画をどうしていくのか、「子ども・子育て支援事業計画」との関連を踏まえた見解を伺います。

答弁

区長 国は2010年から2015年にかけて江戸川区の子どもは3,600人減ると言う。1年に700人減ることになる。子どもにどういう支援をするか中味が当然変わっていく。保育所、学校の必要性についても変化が出てくる。江戸川区は子どもが多いと言ってきたが、いつまでもそうではない。子どもについてもいろいろ材料を提供しこの秋口までに揃えて、提案いろいろあったが、それも含めて、議論をしていきたい。

 制度は、子ども新システムのなかで法制化されているものなので、やっていかなければならない。ニーズ調査について、なぜ、未就学児だけなんだという質問には、私もそう思う。調査は専門家に任せている。就学児に関しては比較的情報を得やすいということがある。ニーズはやっぱりしっかり把握していかなければならない。

 子ども家庭部長  ①力入れるのは、ニーズ調査の結果分析、将来の人口推計、江戸川区の子育て観など加味しながら、具体的な作業は、これから行う。子ども・子育て応援会議の力をいただきながら、江戸川区らしい計画にしていきたい。

②‐1 地域型保育事業については、子どもの数が減るので、各種サービスがどのくらい必要かを解析するのが今回の計画の目的。多様な主体の参入も考えられるが、   社会的信望、財務基盤、社会福祉事業に対する経験値など、運営主体としての適格性を有していることが、提供主体として必要。

②‐2 保育シェアについて、国の会議のなかで現時点では、直接的な議論は行われていない。

②‐3 保育コーディネーターについては、利用者支援は非常に大切。区として、各窓口で保護者のニーズにあった丁寧な説明や情報提供については努める。実際の対応については現業の職員が日常的に適切に行っている。

③ニーズ調査については、子ども子育て応援会議や現場を通じて情報収集には努めていく。

④「次世代育成支援行動計画」と「子ども・子育て支援事業計画」の関連性については、「次世代育成支援行動計画」の直接の根拠法である「次世代育成支援対策推進法」は10年間の時限法なので、H26年度末、来年度末で期限切れとなる。8月の社会保障制度国民会議の報告書を見ると、推進法の延長を求める意見、考え方が出ている。国の関係省庁で具体的に延長をどうしようかという検討がなされ、そのうえで、国の子ども子育て会議の方に検討状況が報告されると聞いている。検討状況を注視していく。

 再質問

「子ども・子育て支援計画」については、改めて、当事者である現在の小学生およびその保護者にも調査をかけることを強く要望します。

 「次世代育成支援行動計画」については、丁寧につくり、進行管理もされてきた重要な計画であり、何より次世代のための重要項目が多く盛り込まれ、10年で終わりと言えるものではありません。江戸川区の将来を考えた時、区こそが先取りして判断するべきと考えます。計画の継続が必要だと考えますが、区の考えをお聞かせください。

答弁

 支援計画が子ども・子育て関連3法が法制され、義務化されたもので、理念的には「次世代育成支援行動計画」の範囲のものも新計画の中に入っていくのかと思っている。いずれにしても最終的に推進法の延長が行われるのかどうかその辺の推移は確認していきたいと思っている。