首都圏外郭放水路   世界最大級の地下河川

         災害対策・街づくり特別委員会で、春日部市にある首都圏外郭放水路を視察しました。中川・綾瀬川流域の市町村は川の勾配が緩やかなために水が流れにくく、ひとたび大雨が降ると、川の水位がなかなか下がらず浸水被害が頻繁に起きていました。これを解消するために国道16号線の地下50mに延長6.3kmの地下放水路が建設されました。

この6.3kmの地下河川に、水位の上がった周辺の中小河川や水路などの立坑から、地下にある6.3㎞の放水路を通して、排水機場に水が流れ込みます。いったん水を取り込みながら、江戸川に流します。容れられる量は67万㎥(東京ドームの半分くらい)ですが、2008年8月の大雨のときには東京ドーム10杯分の流水調節を行ったそうです。江戸川を汚染しないように、基本的に調圧水槽の水は溜めずに流すのだそうですが、万が一、一杯になったら、安全に排水するのに3日かかるとのことでした。年に7回ほど稼働させますが、このところ短時間で集中的に降るゲリラ豪雨が増えているにもかかわらず、この放水路のおかげで、浸水被害は確実に減りました。監視員は通常は1~2人、大雨洪水警報が出されると7~8人で放水路の管理にあたります。

工期は1992年~2006年、当初予定していた工事費は1,100億円でしたが、前例のない工事のため、ボーリング調査などを経て、技術検討委員会による検討の結果を受けて、地下放水路のトンネルの位置を深くしたことや立坑の形状を変えたことなどで、最終的に工事費用は、排水機場、5つの立坑、調圧水槽、トンネルを掘るための機械の製作など、総工費は2300億円かかりました。メンテナンスや清掃には毎年2~3億円。調圧水槽は使用されたあと汚泥が溜まるので、見学場所のみ人が清掃、全体は年に1度の大掃除でブルドーザーを搬入し、清掃するとのことでした。地下水による浮力で浮き上がりを防ぐために、わざわざ天井を支える柱の重さを重くして1柱500t、合計59本で支えています。

公共施設にかかる費用のことを本会議で質問したばかりです。この巨大な施設、建て替えなどできないのですから、予防保全の考え方で、しっかりと保守・点検していく必要があります。