子どもの権利条例 ~江戸川区の子どもたちのために~
22日、「子どもの権利条例東京市民フォーラムのつどい」に参加しました。私たちは、何かを決定するには、当事者の意見を聞き、その意見を反映させることが重要だと主張してきました。今回は、大津でのいじめの事件があったこともあり、「いじめ自殺」の問題を改めて取り上げ、なぜいじめはなくならないのか、子どもたちのSOSをいかに早期に発見し、救済するか、子どもたちが安心して相談できるシステムをどう作るのかなど、早稲田大学の喜多明人教授や、目黒区「子どもの権利擁護委員会」委員の片岡玲子さん、東京都「子どもの権利擁護相談専門事業」専門員の池田清貴さん、世田谷チャイルドラインの星野弥生さんの話を伺い、さらに豊島区・世田谷区から子どもの権利条例や子どもの人権擁護機関についての現況を伺いました。
講演も市民活動もインパクトがありましたが、これらについては、改めて書きます。今回、豊島区・世田谷区の報告を聞いて、江戸川区の取り組みがいかに遅れているかを強く再認識させられました。私たちは、「子どもの権利条例」を策定することをずっと求めてきました。しかし、「子どもの権利」というと、区は「子どもにわがままを認めるのか」という発想になってしまうような意識のずれがあるような気がします。
2006(平成18)年に「子どもの権利に関する条例」を制定した豊島区では、子育て支援課長の報告を伺いました。子どもたちを権利侵害から救済し、支援するために、子どもの権利擁護委員を設置しました。相談があったら、関係団体や行政など調査し、何かあった場合には是正を要請します。当事者には助言や支援をします。そして、個人情報に配慮しながら、結果を公表するのです。これが、是正することに前向きになることに役立っているとのことでした。
これに先立ち2002(平成14)年に子ども条例を制定した世田谷区では、今年、区立小・中学校の児童・生徒へのアンケート調査が行われました。また、パブコメ・区民の意見募集などを実施し、専門家や有識者を含めた「子どもの人権擁護の仕組み検討アドバイザー会議」での検討が重ねられた結果、子どもの権利擁護のための機関を設置することを盛り込んで、条例が改正されました。来年4月から施行されます。
江戸川区では、小学校1年生の男児が虐待で亡くなった事件のあとで、子ども家庭支援センターの職員を増やし、民生児童委員などとの連携を図り、対応に努めてきました。それでも小学生の男児、女児の兄妹が巻き込まれてしまった心中事件のような痛ましい事件は起きてしまうのです。周囲はそれぞれに「大丈夫だろうか?」と心配していたと言います。けれども、1歩進めて、実際に同居している保護者に声をかけることはできなかったのです。子どもを巻き込む心中は、究極の虐待であり、重大な権利の侵害です。
本会議の質問で、教育と福祉の連携を進めるためにスクールソーシャルワーカーの設置を求める質問をしたところですが、地域のネットワークでの見守りがあるから必要ないとの答弁でした。子ども自身の声を聞き、問題の解決を図る速やかな対応が、地域のネットワークでできるのでしょうか?子どもからの相談窓口の充実を図る一方で、子どもの人権を尊重し、それを確保するために条例を制定し、子どもたちに周知し、さらに、子どもの権利擁護のための機関を設置した自治体があるのです。今後も、江戸川区に「子どもの権利条例」の制定を求めていきます。