放射線はどうして怖いのか?

「高木学校」出前授業を聞いて 

7月9日、タワーホール船堀で行なわれた「高木学校」の出前授業で、放射線についての話を聞く機会がありました。

「高木学校」は、核化学が専門の故高木仁三郎博士(2000年没)が、1997年12月に受賞した、もう一つのノーベル賞といわれる「ライト・ライブリフッド賞」の賞金と多くの人々の支援をもとにして創立した「市民科学者育成」のための学校です。

高木仁三郎博士は、政府の原子力政策について、原子力業界とは一線を隔して分析を行ったり、提言したりするため、原子力資料情報室を設立しました。福島第一原子力発電所についても、すでに1995年に、老朽化による耐震性の劣化で「廃炉」に向けて議論が必要だと指摘し、また、地震によって長期間外部との連絡や外部からの電力や水の供給が断たれた場合には大事故に発展する、と、対策が必要なことを訴えていました。多くの学者が国策になびくなかで、脱原発を貫いた方でした。

出前授業の講師は板橋志保さん。専門は放射線ではなく環境汚染なので、と仰りながら、わかりやすく放射線とは何か、どうして怖いのかを説明してくれました。

放射性物質(放射能)が放射線を出す。放射線は身体を透過して、DNAに傷をつける。DNAは修復するが、切れたDNAが多いと修復できなかったり、変異が起きたりして「発がん」につながる。子どもは細胞分裂が盛んで放射線の影響を受けやすいので、より注意しなければならない。基準値は安全値ではなく、がまん値のようなもの、また、ND(不検出) というのは「ない」ということではなく「機械が計れる限界より小さい」ということで、結局わからないのだから、危ないと考えるべき。適切な情報を集め、原発や汚染の状況を監視すること、また、目先のことでなく長期的に考える。子どもが優先、原発に振り回されすぎないこと。

わからないのだから、いちばんリスクが大きいという考え方をすることは大切です。子どもたちは、これから長く生きていくのです。本会議でも質問しましたが、この低線量での放射能汚染という事態は、これまで日本では、誰も経験したことがなかったのだから、子どもたちの過ごすことが多い場所での継続的な放射線の測定、給食食材の放射能チェックをすること、そして、将来のためにデータとしてとっておくことが必要だと考えます。これからも、機会あるごとに、区に提案していこうと思っています。