どうなる在宅介護

2010年度決算特別委員会報告③

江戸川区の特別会計には、国民健康保険事業特別会計、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、老人医療特別会計(H23年度まで)があります。
介護保険特別会計について質問をしました。

1.在宅での介護について
<質問>今回の介護保険制度の改正では、特に施設から在宅への移行を進めるということに力点が置かれている。施設に入っている人たちと、在宅で暮らす人たちに費やされる介護保険の給付にかかる費用に、大きな差があることは従来から指摘されていることであるが、施設入居者と在宅でのサービス受給者の数と1人当りにかかっている費用はどのくらいになるか。また、格差があるという点について、区の考えを伺う。

<答>サービス利用者の数は、22年度居宅(自宅でサービスを受けること)で約11,000人、施設で約2,300人。居宅では年間150万円、施設では330万円。在宅には在宅の、施設には施設の特徴がある。在宅で介護ができない方が施設に入る。制度的なもの。(区としてはしょうがないと認めているということか。)

<意見、質問>施設に入居している方と在宅の方にこれほどの違いがある。区はこれ以上施設を作る方針はないということだから、在宅者への支援が必要。在宅の方々に、コストがかかっていないということは、現在の在宅のサービスで足りているのか、それとも使われていないのか。区はどのように考えているか?

江戸川区は介護認定率が13.36%、23区で最も低い。東京都平均は約17%、高い区だと世田谷区、渋谷区など19%を超える区もある。元気なお年寄りが多いと言われている。高齢者向けの体操やカルチャーセンターなど、地域でいろいろな取り組みに参加する風土があり、区としてそれらを活かした支援がなされていることは評価できる。一方で、視点を変えてみると、今回の「介護予防調査」にあるように「自分にはまだ必要ない」とか「もう少し身体の調子がわるくなってから」と考える人が多い。改めて、区として、今回の法改正にある、高齢者が自立して地域で暮らせるよう、医療と介護、予防と住まい、生活支援サービスに関して、24時間の「地域包括ケアシステム」に関しては、現状を分析して、実現可能かどうかその可能性について、区がどのように考えているのか聞きたい。

<答>(多田区長)介護保険制度は、福祉の制度として成功した事例に近いと評価されている。在宅か施設か、その金額の格差も、問題がないわけではない。介護保険のできた意味合いは、それまで家族介護、お嫁さんなどに頼ってきたものを、負担を社会化すること、社会的に保障することが目的だったが、社会化しても家族介護は必要、介護保険を矛盾がない制度にしていく必要があるので、国に自治体の状況を聞いてもらって、実態に即したもの、地域の介護制度を作っていく必要があると考えている。

<意見>地域で福祉を構築することは大切。在宅において、切れ目ないサービスが提供されるように区としても、できる限りのことをするように要望する。

2 地域密着型介護予防サービス給付費について
<質問>予算計上1527万7千円で執行額777万4362円と約半額となっている。この地域密着型介護予防サービスとはどのようなサービスか。

<答>要支援1,2の人たちが利用するサービスで、小規模多機能居宅介護サービスや認知症グループホームなどのデイサービスを指す。

<質問>要支援1,2の方々は、それぞれ約2300人、2000人いる。過去のデータでも、このような予算立てがされているにも拘わらず、執行額が少ないということについての区の分析は。

<答>要支援1,2の方々は使えるサービスを自分たちで選んで、給付にあたらないデイサービスを利用している方々が多いのではないか。

<意見>実際に、地域密着型介護予防サービスを使える方々が少ないということなのか、潜在的にこれだけの需要があると見込んでの予算立てで、見えてこない方々を掘り起こす必要があるということなのか、きちんと分析して予算立てをする必要がある。