中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史さん、環境総合研究所の池田こみちさん、弁護士連合会東日本大震災原発事故等対策本部原子力プロジェクトチーム委員の小島延夫さんらのがれき処理に関する見解の発表があり、その後質疑応答がありました。
津波は何もかも一緒くたにしてしまいました。
3・11の震災で出たがれきで、これまでの震災・津波の災害時と異なる点は、圧倒的に多いその量と質的多様性なのです。環境省の調査では、その内訳は可燃ごみ(柱・壁・家具)23%、不燃ごみ(1)(コンクリート等)66%、不燃ごみ(2)(金属くず)2%、不燃ごみ(3)(家電等)4%で、本来は家庭から出る一般廃棄物として処理されるべきものなのに、津波の影響ですべてが産業廃棄物の様相を呈しています。加えて、福島第一原子力発電所の事故により、周辺に流れた、また拡散・飛散し沈降した大量の放射性物質の存在が、問題の解決を一層複雑かつ困難にしています。
永倉さんの講演から、現地を訪れて、古い建築物の壁や天井から多くのアスベストが出てきていることを確認したけれども、どれが吹き付けられたアスベストか区別できないままに、重機での粉砕が行われ、作業員も住民も防塵マスクなしに外で活動している実態を知りました。宮城・岩手の両県の各市町村で積み上げられているがれきにはあちこちからアスベスト建材・吹きつけ材が発見されました。本来は破砕することが禁止されているアスベストを含んだスレート建材も、何もかもが混在しているがれきのなかでは、取り出すこともできず、一緒に処理されています。防塵マスクの有用性を住民にも被災地で活動しているボランティアにも研修して広めたそうです。
アスベストは飛散しやすいものです。通常は、周囲を囲って放水しながら飛散しないように処理するものです。けれども、被災地では、すでにすべてが混在しており、分別は、広域処理にまわされるものについては、手作業でやっています。放射能汚染のことばかりが取りざたされていますが、ごみという観点から見ると、ごみそのものの多様性も考えながら進めていかなければならないということを感じました。