発達障がい支援について

議会報告④

発達障がい者(児)支援について

知的・身体などの障がいに比べ、発達障がいについては支援の取り組みがたいへん遅れています。特に集団教育の現場や就労の場などでその課題が浮き彫りとなっています。江戸川区でも2010年度、副区長を座長とする庁内プロジェクトをつくり、昨年4月には障害福祉課に発達障害調整係も組織、2015年度には発達障害者支援センターの設置を目指すなど、取り組みをすすめているところです。
発達障がいは早期発見が重要なことは言うまでもありません。しかし、表面化しづらいという特性のために、子育て経験の浅い保護者にとって自ら気づくことはなかなか難しい現状にあります。実際、子ども家庭支援センターなどへの育児相談のなかでも、専門家である臨床心理士に相談して初めて、子育ての難しさが実は発達障がいにあった、と判明するケースは多いといいます。子どもにとっての最大の支援者はその保護者です。保護者が子どもの発達状態を正確に理解し、関係機関と協力しあって必要な対応を行える環境整備をすることがまずは重要になると考え、3点について質問しました。

1.遅れているこの分野の具体の支援策を確実にすすめていくには、配慮を要する子どもや人に関しての支援方針をもち、発達障害支援基本計画・さらには実施計画を丁寧に策定し、実行に移し、進行管理や評価を行っていくことが必要ではないかと区の見解を質しました。

 2.現在区が用いている就学支援シート「ともだち」は幼稚園・保育園などから小学校へとつなぐためにのみ使われており、ライフステージに応じた支援にはなりえていません。発達障害は、子どものみならず、若者、大人、そして高齢者までに見られる障害であり、個別的継続支援の実施に向け、生涯にわたる個別支援シートの活用や発達障害へのケアマネジメント手法の採用について考えを聞きました。

 3.相談から療育までの一貫した支援には、関係機関への技術支援や地域への理解促進を強化することが不可欠です。現在、発達障害の研修の実態と区民への啓発など、基本的な取り組みはどうなっているのかを質しました。

区の答弁は1.方針は作成中(7月に方針が出されました。)2.生涯を通じて使用する支援ノートは必要。作成する。3.研修は、保育園やすくすくスクールなどへ出向いて行った。地域へはリーフレットを作成して配布した、というものでした。

支援を確実にするためには、やはり計画が必要であることを訴え、改めて発達障がいに特化した基本計画・実施計画の策定を求めました。発達障がいについては、本人や家族を含め、社会全体における理解度が低く、日常生活や学習面で困難を抱えていても、それが障害だとは気付かれにくく、「やる気がない」「落ち着きがない」などの行動から、育て方の問題ととらえられることも少なくありませんでした。理解を深め、本人の個性や特性に応じた適切な配慮や支援を行えば、日常生活での生きにくさは軽減されていきます。療育を育成室や新たにできる支援センター内のことにせず、地域環境のさまざまな場面での対応が療育の場となるよう、日常の中に支援基盤を増やしていくことが必要です。