特別支援教育の先行事業に学ぶ

神戸視察報告その4「だいち小学校」

 神戸市では文部科学省から「特別支援教育体制推進事業」の指定を受けて実施中です。特別支援教育コーディネーターの養成研究や保健・福祉・医療などの関係機関で特別支援連携協議会を設置、通級指導教室での共同研究など特別支援教育推進体制の整備をすると同時に、LDなどへの特別支援事業として、市立小・中学校全70校を対象として教育補助者を配置、ADHDなどの児童が在籍する学級へのスクールアシスタント配置、臨床心理士、盲・養護学校また通級指導教室教員、医師などでつくられる「こうべ学びの支援センター」の設置で、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症などの障がいをもつ児童生徒への教育的支援を実施しています。
最後に訪問したのは、「だいち小学校」で、特別支援学級の授業を参観させてもらいました。震災前には千歳・大黒2つの小学校でしたが、統合されJRの鷹取工場跡地に新設されました。全校生徒786名、そのうち特別支援学級である「おおぞら学級」が11名です。知的障がいをもつ児童9名と肢体不自由、情緒障がいの児童が学んでいます。ボランティアセンターを通じて地域から学生〜70才の方まで28人のボランティアの方々が、担当の教員と一緒に活動しています。
通級学級での授業時には配置されている3名のスクールアシスタントが1、2、3年生に週1日ずつ付き添い、担任の指示や課題の理解を助けたり、クラスの子との関わり方が不適切であったりしたときには、適切な行動を教えたりしているそうです。放課後、個別に担任に報告し、月1回のコーディネーターとの情報交換で連携を図っています。管理職、各学年の先生1名ずつ、特別支援学級担任、養護教諭、生徒指導担当者、特別支援コーディネーター(特別支援学級の担任が兼務)で校内委員会が設置され、年4回「個別の指導計画」などについての話し合いがもたれます。幼稚園や中学校との連携も確立され、情報を集めています。不安を感じている保護者に対しては、学習面で「学びの支援センター」、他の面については「神戸市子ども家庭センター」などと連携して支援しています。アシスタントの存在で、子どもを教員とは違った角度からとらえることができ、多角的に児童の実状を把握できるようです。
関西は同和問題などで、人権問題の取り組みに歴史があることからか、副籍についてはことさらに制度化しなくても、98%の学校に障がい児のいる神戸では、保護者の希望に添うようにすることが第一で、以前から当たり前のように行われていたそうです。
この4月から始まった「特別支援教育制度」、江戸川区はどのように進めていくのか、この制度が子どもたち一人ひとりの教育に生かせるよう、取り組んでいきたいと思っています。

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