スーパー堤防裁判傍聴記                                 ~裁判長が求めたスーパー堤防事業の具体的必要性~

 17日、北小岩一丁目東部地域(18班地域)の住民が、区画整理事業の取消を求めて起こしている行政訴訟を傍聴しました。東京地方裁判所でいちばん大きい103号法廷(定員97名)は傍聴者95名とほぼ満員の状態でした。4月の異動でこれまでの裁判長から新しい裁判長に変わったため、これまで審議してきた訴状の内容について、更新する手続きがありました。

 これまでは原告団が主張してきた具体的項目に関してのみ言及してきた区の弁論に対して、裁判長は「区が何をもって事業計画決定時にスーパー堤防が必要だと判断したのか?」「事業計画決定時の少し前に事業仕分けがあって、スーパー堤防事業は不要だという結論が出されたが、中止になる可能性について区の判断はどうだったのか?」「どういう目的で盛土を含む区画整理事業になったのか?盛土について区が単独で行うケースもあり得ると判断したのであれば、単独でもやる必要がある、この事業は適正だと判断した根拠は何か?」など、区の考え方の基本と事業を行うに至った経緯について、具体的根拠をもって説明してほしいという要望が出されたのです。

 これまで私が傍聴してきたこの裁判では、裁判長が区の言い分を「○○○ということですよね。」と区の代弁をしているかのような発言であったこと、難しいことば使いで理解しにくかったことなどが印象的でしたが、新裁判長は、明瞭な発言ではっきりと話し、これまでの口頭弁論のための準備書面をしっかりと読み込んでいることがよくわかり、素人である私たちにもわかりやすい話し方で弁護団に質問しました。対する弁護団は「高規格堤防とスーパー堤防は同じものなのか?」などと、今さらそんな基本的な(呆れた!?)質問をするのかと傍聴者たちから失笑がもれたくらいです。

 この区の考え方については、スーパー堤防自体不要であり、そこに固執する区の姿勢については私たちも機会あるごとに区に質してきました。明確な答弁を避けてきた区の本当の考え方を知ることができる機会になります。次回の裁判で区がどのように答えてくるのかを、ぜひとも聞きたいと思います。