小規模多機能ホーム 視察レポート

江戸川区の小規模多機能ホーム「あひるクラブ」

熟年者支援特別委員会で、小規模多機能ホーム 「あひるクラブ」の視察に行きました。
2006年に見直された「介護保険法」は、介護予防の観点からあらたなメサービスが加わりました。その中で登場した地域密着型サービスのひとつとてして「小規模多機能施設」があります。
この施設は、在宅でサービスを利用する人に向けて、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイの3つのサービスを提供しているところです。ひとつの施設からこれらのサービスが受けられるメリットは、介護者の顔ぶれが同じであることから利用者には安心感が生まれるということです。「通う」「訪問する」「泊まる」のサービスをトータルに提供する施設であり「24時間365日の安心を確保する」サービスの拠点と言えます。
現在、江戸川区にはこのような施設が4か所あり、「あひるクラブ」は江戸川区内で2番目にできた施設です。現在、登録者は9人で、少人数の登録制を生かして、いつも顔なじみのスタッフの方と家庭的な雰囲気のなかで過ごせるように工夫されています。地下の多目的スペースでは、地域の方の利用もあり、交流の場にもなっています。はじめのうちはまったく関心のなかった方も、歌を歌ったり、楽器に触れたりして音楽を楽しむことで、精神的にも落ち着かれたそうです。視察当日は、みなさんで「瀬戸の花嫁」や「北国の春」を演奏してくださいました。
しかし、一方でこの施設を利用する人にとって、大きなネックとなっている制度の問題があります。小規模多機能施設を利用する場合、この施設に所属するケアマネージャーのケアプランが必要だということです。他の事業所のケアマネージャーと契約している人は、施設を利用するために、ケアマネージャーを変えなければならず、これまで、信頼を寄せていたケアマネージャーを変えるということは、利用者にとってとても大変なことです。そのために、「あひるクラブ」でも利用者なかなか増えないという現状があり、施設経営が厳しいということが職員の話でわかりました。他のサービスである訪問入浴サービスとの両立で、何とか経営できているということでした。
また、小規模多機能施設は、建設時には一定の助成はあるものの、その後の運営に関する支援体制は整っていないというのも現状です。
昨年の本会議において、生活者ネットワークとして、小規模多機能型施設の必要性を重要視し、法律における制度の問題はあるものの、江戸川区として運営に対する支援体制を整えるべきだと提案しました。
住み慣れた自宅での介護を望む高齢者の方々にとっては、このような地域に密着した施設があることはとても大切だと考えます。